2019年12月28日土曜日

女71 Halo≈太陽

j.mp/tacw71d Woman 71 - Halo
「この春の日の日中(ひなか)の心持を申しますのは、夢をお話しするようで、何んとも口へ出しては言えませんのね。どうでしょう、このしんとして寂(さび)しいことは。やっぱり、夢に賑(にぎや)かな処(ところ)を見るようではござんすまいか。二歳(ふたつ)か三歳(みッつ)ぐらいの時に、乳母(うば)の背中から見ました、祭礼(おまつり)の町のようにも思われます。
何為(なぜ)か、秋の暮より今、この方(ほう)が心細いんですもの。それでいて汗が出ます、汗じゃなくってこう、あの、暖かさで、心を絞(しぼ)り出されるようですわ。苦しくもなく、切(せつ)なくもなく、血を絞られるようですわ。柔(やわら)かな木の葉の尖(さき)で、骨を抜かれますようではございませんか。こんな時には、肌(はだ)が蕩(とろ)けるのだって言いますが、私は何んだか、水になって、その溶けるのが消えて行(ゆ)きそうで涙が出ます、涙だって、悲しいんじゃありません、そうかと言って嬉(うれ)しいんでもありません。
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