2014年5月30日金曜日

女34 夜猫

その瞳の奥には、猫を操縦するコックピットがあって、小人達が忙しなく働いていた。鳴かせたり、しっぽを上げ下げさせたり、寝そばせたり、伸びをさせたり。そこには沢山のボタンやスイッチがあった。
彼らが見上げる瞳は、まるで月のように満ち欠けした。昼間は細く、夜は満月になった。ある晩のこと。満月に巨大な目が現れ、しきりに内側をジロジロと覗き込んできた。小人達はビックリして、瞼のスイッチを押すのも忘れ、息を潜めた。
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