2010年6月1日火曜日

婚礼の片隅

31.8×40.9cm 油性パステル 紙 2000年以前
「婚礼」と対になる作品です。
手前は「婚礼」の花嫁の御母堂で、私の母方の祖父の妹に当たる方です。大学受験の際上京し、浅草橋のお宅に一週間ほど滞在させて頂きました。猫もいましたが、そのときすでに娘との二人暮らしでしたので、この婚礼を境におひとりになられました。
亡くなる前、お茶の水の古い大きな病院に、一人でお見舞いに行ったことが思い出されます。
同じ境涯の方が大勢ベッドに横たわる静かな病棟で、この絵と、対のもう一枚をポストカードにしたものを、小さな額に入れてさし上げたところ、しばらく私の手を握って離さず、とても喜んで下さいました。
何のはずみでその話題になったのかは忘れましたが、私が泉鏡花のファンであることを知ると、自分も若い頃読んだが、鏡花の文章は、”引きずり込まれるようで怖かった”とおっしゃっていました。
後から知ったのですが、あごを擦るのは癖だそうです。

慈愛を持って見守るのは、花婿の義理の妹、私から見ると叔父の奥方です。
この絵は現在その叔父夫婦の所にあります。

ちなみに 「泥おにぎり・姉」と 「泥おにぎり・妹」の姉妹は、お二人のお孫さんです。


「婚礼」とともに、油性の持つ色彩の重みを再認識するその一方で、パステルに拠る細部の描写力に飽き足らず、本格的な油絵に踏み出すきっかけを与えてくれた作品です。

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